各種疾患
耳(外耳~内耳)の各種疾患
部位別疾患 | 疾患名 | 概念・定義 |
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外耳疾患 | 急性外耳(道)炎 | 外耳道皮膚の発赤腫脹、ときに皮下に膿瘍(うみ)を形成した状態。 |
外耳道異物 | 外耳道内に異物の陥入した状態。小児では玩具や豆類等、成人では昆虫が多い。 | |
外耳道外傷 | 外耳道への機械的損傷で小児よりも成人に多く、痛みが強い。 | |
耳介血腫 | 耳介(みみたぶ)の皮下および軟骨膜下の出血で、耳介が強く腫れる。外傷後に多い。 | |
耳介軟骨膜炎 | 耳介軟骨および軟骨膜の炎症で、耳介血腫の最重症型。 | |
中耳疾患 | 外傷性鼓膜穿孔 | 鋭的・鈍的な外力により、鼓膜に穿孔(穴)を生じた状態。 |
急性化膿性中耳炎 | 鼓膜の奥の小部屋(鼓室)の粘膜が腫れ、鼓室に膿が貯留して鼓膜が腫れ上がった状態。 | |
慢性化膿性中耳炎 | 急性中耳炎の罹患後、3カ月を経過しても耳漏が止まらない状態。 | |
滲出性中耳炎 | 鼓膜の奥の小部屋(鼓室)に水が貯留した状態で、小児の難聴の原因のトップを占める。急性化膿性中耳炎と異なり、痛みがない。 | |
内耳疾患 | 突発性難聴 | 過去に耳の疾患に罹ったことのない人に、特別な原因なしに一側の高度感音難聴が突然発症する状態。原因不明で、早期の治療開始を必要とする。 |
メニエ-ル病 | 内耳の内リンパの過剰(内リンパ水腫)により、めまい、難聴、耳鳴を主訴とし、これらを反復して慢性に経過する疾患。 | |
耳性帯状庖疹 | 帯状疱疹とはいわば2回目の水痘感染症であるが、これが耳の関連領域に出現し、水疱やめまい・難聴、ときに顔面神経マヒを伴うもの。 | |
感染症に伴う難聴 | おたふくかぜなどに伴って起こる場合があり、稀ではあるが一側の高度難聴をきたす。 | |
騒音性難聴 | 強大な騒音下で長期間勤務していた場合などに発症してくる感音性難聴。 | |
薬剤性難聴 | 特定の薬剤使用により特に内耳に機能障害をひき起こした状態。 | |
その他 | 特発生顔面神経マヒ | 腫瘍や外傷などでも起こるが、突然発現する原因不明のマヒ(ベルのマヒ)が最も多い。 |
鼻(鼻腔・副鼻腔)の各種疾患
部位別疾患 | 疾患名 | 概念・定義 |
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外鼻・鼻中隔疾患 | 鼻骨骨折 | 強い外力が外鼻に加わったことによる顔面形成骨のうち鼻骨の骨折。 |
鼻中隔弯曲症 | 鼻中隔の病的な変形を起こしたもので、鼻閉などの症状を引き起こす場合にこの病名がつく。 | |
固有鼻腔の疾患 | 固有鼻腔の異物 | 鼻腔内に異物が観入した状態。気道をふさぐ場合があり、危険。 |
鼻出血 | 前鼻孔あるいは後鼻孔から流れ出る出血の総称。出血の部位は固有鼻腔や鼻中隔、副鼻腔、眼窩周囲など多彩。 | |
アレルギ-性鼻炎 | 体外からの抗原侵入によって、主に鼻甲介において抗原-抗体反応が起こり、鼻閉、水性鼻汁、くしゃみ発作を3大症候とする病態。 | |
副鼻腔の疾患 | 急性副鼻腔炎 | 各副鼻腔の粘膜および周囲の骨壁に起こった急性炎症で、風邪に伴って発現する場合が多い。 |
慢性副鼻腔炎 | これまで蓄膿症といわれてきた疾患。各副鼻腔の粘膜および周囲の骨壁の慢性炎症。 | |
副鼻腔悪性腫瘍 | 上顎癌が最も多い。 |
口腔・咽頭・扁桃・唾液腺の疾患
部位別疾患 | 疾患名 | 概念・定義 |
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アフタ性口内炎 | 口腔内粘膜に発症する多発性または孤立性で、円・楕円形の浅い潰瘍。大小さまざまで、好発部位は口唇内面、歯肉、舌、頬部粘膜、口蓋粘膜など。 | |
がま腫 | 口腔底前方に見られる嚢胞(のうほう=ふくろ)で、舌下腺導管(口腔へ唾液を送る管)の閉塞によっておこる貯留嚢胞。 | |
口腔底蜂窩織炎 | 口腔底に起こった膿瘍(うみ)の進行・重症型で、全口腔底に炎症が波及した状態。炎症は限局せずにあらゆる間隙を伝って拡がり、患部軟部組織に強い壊死をおこす。 | |
扁桃疾患 | 舌癌 | 舌粘膜から発生する悪性腫瘍で、口腔癌の過半数をしめる。 |
急性(口蓋)扁桃炎 | 扁桃(特に口蓋扁桃)に起こった急性炎症で、最も多く経験する上気道炎の一つ。口蓋扁桃は無数の陰窩(いんか=くぼみのこと)を持ち、その形態から細菌感染を合併しやすい。 | |
扁桃周囲炎 | 急性扁桃炎の重症型で、扁桃を覆う被膜と周囲の筋層との間に炎症が拡大したもの。多くは急性扁桃炎に続発して発病する。 | |
扁桃周囲膿瘍 | 急性扁桃炎の最重症型で、扁桃をおおう被膜と周囲の筋層との間に膿瘍(うみ)を形成したもの。 | |
唾液腺疾患 | アデノイド増殖症 | 鼻と口との境(上咽頭)に位置する咽頭扁桃(アデノイド)が肥大した状態。特に小児でいびきや口呼吸、鼻閉の原因となる。 |
唾石症 | 唾液を口腔内に送る管の中に侵入した小異物や細菌などが核になって、これに石灰が沈着して生成された石灰塊をいう。 | |
流行耳下腺炎性 | 古くから“おたふくかぜ”として知られる。ムンプスウイルスによる急性伝染病で、全身感染症であり、特に唾液腺炎はその侵襲頻度の最も高い部位。 |
喉頭・頚部内臓の疾患
部位別疾患 | 疾患名 | 概念・定義 |
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喉頭疾患 | 急性咽喉頭炎 | 最もよく遭遇するのどの急性炎症で、ほとんど風邪と同義語。 |
急性喉頭蓋炎 | 急性咽喉頭炎の特殊型で、粘膜下組織の蜂窩織炎の一種。喉頭蓋(こうとうがい=喉頭の入り口にあるフタ)が急速に腫脹した状態で、強い気道閉塞をきたすことがある.成人男性に多い。 | |
声帯ポリ-プ | 喉頭内の声帯粘膜上に発生する浮腫性腫瘤。嗄声(させい=こえがれ)を主症状とするが、悪性化することはない。 | |
反回神経マヒ | 脳神経の一つである迷走神経から分岐し、直接声帯を動かす神経でこれがマヒした状態。嗄声(させい=こえがれ)を主症状とし、ときに誤嚥(ごえん=食べたものが気管に入ってしまうこと)も起こす。 | |
喉頭癌 | 喉頭から発生した悪性腫瘍で、喫煙者に多い。嗄声(させい=こえがれ)を主症状とする場合が多い。 | |
頚部食道疾患 | 頚部食道癌 | 食道の入り口付近に発生する悪性腫瘍。胸部食道癌は男性に多いが、この部に生ずる癌は女性に多い。 |